♪花火ソング考察〜邦楽は「花火」をどのように歌うのか？
6月は雨の歌について考えてみましたが、今月は花火の歌についてです。
邦楽花火ソングのコンピを作るために、また花火ソングを集めて聴きまくっておりました。雨よりは数が少ないのでボリューム不足は否めませんが…。
私たち日本人が無意識に持っている「花火」のイメージ、「花火」にもたらされる気分や感情は何なのでしょうか。J-popから考えてみます。前回もそうなのですが、YouTube動画が重かったらすみません…。
- 花火は「夏の思い出」として語られる
- 花火は儚い輝きを描く
- 花火を恋心になぞらえる
- 花火と直接言わず「夏の花」「夜空の花」と表現する
- 明るい気持ちになれる花火の歌
- 番外編？寓話的な花火ソング
- 花火ソングについてまとめ
花火は「夏の思い出」として語られる
花火の曲は、君がいた夏、的な歌詞が多いです。
「君」は恋人であることがほとんどかなぁと思います。花火を見る＝デートであることが多いからなのでしょう。
花火は、雨のような日常とは違って非日常です。花火を見ている＝ほぼお祭り参加しているってことで、特別なイベントですから。雨も過去系の歌が多かったのですが、花火の場合は追憶ではなくて「輝かしい思い出」として強く心に残っている記憶が描かれています。
「君がいた夏」以外に「終わらない夏」という歌詞が多いのも、記憶に強く残りすぎてずっと続いているかのような感覚、忘れがたい想いを描いているからかと思います。だって夏、ふつうに終わりますもんね(笑)
- 君がいた夏は 遠い夢の中 空に消えてった 打ち上げ花火（JITTERIN'JINN「夏祭り）
- 会えなくても 記憶を辿って 同じ幸せを見たいんだ あの香りとともに 花火がパッと開く（中略）どんなに 想ったって 君は もういない（大塚愛「プラネタリム」）
- パッと光って咲いた 花火を見ていた きっとまだ終わらない夏が 曖昧な心を繋いで繋いだ この夜が続いて欲しかった（米津玄師「打上花火」）
ちなみに、最近大人気の米津玄師の「打上花火」は、サビなど、盛り上がるところは現在っぽいのですが、曲のはじまりは「あの日見渡した渚を今も思い出すんだ」なので、過去です。
とにかく、花火が描く過去は「強い」です。今でも空気感や情景を鮮やかに思い出すような、感覚がぐわっとよみがえるような、そんな感じがするんです。
「夏祭り」はwhiteberryのカバーの方が今は有名ですよね。 ※PVは見つからなかったです。
花火は儚い輝きを描く
花火って、パァッと光って、パラパラパラっと一瞬で散っていきます。
花と名の付くものの中で一番儚いですよね。
しかもその輝きたるや、鮮烈なものです。真っ暗な夜空の中に、色とりどりの炎が舞うわけです。目に焼き付くような、すごい光ですよね。
花火で「儚さ」を歌うものは多いです。同じような歌われ方をするもので「桜」がありますが、桜に比べて咲いている時間はさらに短く、目に焼き付く光景もことさら強く、そして、暗闇の中で光り輝くので内省的でもあり、とても切なくなります。
儚い花火ソングを見てみましょう。
- 決して捕まえることの出来ない 花火のような光だとしたって
もう一回 もう一回 もう一回 もう一回 僕はこの手を伸ばしたい（Mr.children「HANABI」）
- 最後の花火は 儚く消えても 君へ、君へ 君への気持ちは この世のすべてを輝いて見せるの（momoon「儚火」）
輝きがすごく協調される歌詞たちですね。ミスチルとmomoonの歌詞は、同じ言葉を繰り返すリフレインが使われてますが、一瞬のものに対して繋ぎ止めたり留めおきたくなるような心理が表現されているのかな、と思います。
HANABI＝儚さで言ったらやっぱり、人気度でいってもミスチルの「HANABI」が一番かなぁ…。サビの「♪決して捕まえることの出来ない～」の前に一瞬「間」があると思うんですが、そのサビへの導入箇所にパーンと光が見えるようなメロディが入ってるんです。この「間」、さすがベテランだぁ～と最初聞いた思いました。
花火を恋心になぞらえる
ある意味、前項の「輝き」にもそういう意味合いはあるのかもしれないですが、輝きの場合、笑顔だとか夢への情熱だとか、幸せだとか、広くとらえることができます。
これから紹介する歌は、花火を「自分の恋心」「自分たちの恋」の象徴として使っています。夏の、大半は「終わっている・終わろうとしている恋」です。
- 夏の星座にぶら下がって 上から花火を見下ろして こんなに好きなんです 仕方ないんです （中略）最後の残り火に手をふった（aiko「花火」）
- 底なしの海に 沈めた愛もある（中略）胸に残る祭りのあとで 花火は燃え尽きた（桑田佳祐「祭りのあと」）
- パッと咲いて 空に咲いて 夜を飾る火花は 夏花火 それとも恋の炎でしょうか（三代目 J Soul Brothers「花火」）
恋の炎っていうくらいなので、花火は恋心になぞらえやすいのかもしれませんね。しかも前項であげたとおり「儚い」ので、終わってしまうのです。
aiko-『花火』music video short version
幸せな恋心の歌もあります。Superflyの「極彩色ハートビート」です。
- 今、わたし幸せかも…！とりどりの音、混ざり合って 極彩色の花火みたいだね 空高く打ち上がる
こういうのもいいんじゃないでしょうか。というか、なぜもっとこういうのがないのでしょうかね(笑) というか超ハッピーな感じの歌自体が邦楽には少ないかも。※Superflyご本人の動画はありませんでした…
極彩色ハートビート / Superfly（コピーバンド）ウーフル
花火と直接言わず「夏の花」「夜空の花」と表現する
花火ソングだとはわかりにくいけれど、オシャレだなって思います。夜空とか、空に咲いているって書き方だと花火のことですね。例が今までと重複してしまってますが…
- 煌めいて揺らめいて 蒼き夢 舞い上がれ（中略）果てるまでせめて強く 此の花 燃えゆく（いきものがかり「花火」）
- あの空に咲いた夏の花 風に舞いながら落ちてく（JUJU「ナツノハナ」）
たぶん他にもあるのですが、パッと今浮かばず…すみません。
明るい気持ちになれる花火の歌
ありそうで少ない、明るくて景気がいい感じの花火の曲があります。
AIの「HANABI」です。
- その火を灯して 悩みを燃やして 明日の空見上げて その火を灯して
打ち上げよう その花火を 打ち上げよう その花火を
何もかもがどうでもよくなるくらいに
打ち上げよう その花火を
初めて聞いた時、すごく前向きで「いいね！」と思いました。こういう気持ちで花火行きたいなぁって思います。なぜあんまり花火ソングとして定番にならないのかなぁ？こういう感じを求めている人も多いはず(*'ω'*)
番外編？寓話的な花火ソング
フジファブリックの「打ち上げ花火」という曲があります。この歌の歌詞は本当に独特です…。（まぁ、フジファブリックは全体的に独特な気がしますが）
- 夜霧の向こう側 人影が見えたんだ
ばらばらばらばらと 鼻垂らし小僧だった
運ばれてくるのは 焦げ臭い香りだ
ちかちかちかちかと 瞬くものを見た
微睡むお月さんの顔めがけ 打上げ花火を撃った!!
のっそのっそお地蔵さんの行列も 打上げ花火を撃った!!
歌詞はこれだけ。何だろう？よくわからない。
鼻垂らし小僧が花火を撃ったの？お地蔵さん？？なんで出てきた？かなり謎が多いですが、これに曲がつくと、雰囲気がすごくて。寓話的というか…。真っ暗な夜に花火の煙だけが漂うような静寂から、ピーク時の花火乱れ打ちのような激しさへ。とにかく曲がカッコイイです。でも歌詞はお地蔵さんです。うん、謎だ。
でも、こんな花火ソングもありかな～って思います。
フジファブリック 「打ち上げ花火」 Live at Hibiya Yaon
花火ソングについてまとめ
桜、花火、紅葉など、儚く散るものの風情を歌うのが日本人は好きなんだな～と改めて実感しました。煌びやかで、切なかったり、甘酸っぱかったりする花火ソング達…
でも、ジッタリンジンの「夏祭り」やaikoの「花火」など、歌詞が切なくても曲調は明るかったり、お祭りに映えるウキウキするメロディだったりするんですね。そこが桜や紅葉とは違うかな。
花火は一大イベント！お祭りですから、切ないばっかりではなく楽しい曲ももっと増えていかないかなって思います。
以上、「邦楽」の花火の歌われ方について考察？してみました。
重ねて申し上げますが、動画が重かったらすみません(>_<)
みなさんは、今年もう花火見ましたか？
これからって人もいると思います。私もこれからです！
夏の間、思いっきり花火を楽しみましょう♪
今日も読んでくれてありがとうございます。
今週は1日短くて嬉しい！
週末まで頑張りましょう！
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